【マーケティング】顧客心理に基づくマーケティング手法「アンカリング効果」

  • 2024/02/09
  • 経営関連

こんにちは、中小企業診断士の諸岡です。

恒例の「顧客の心理を突いたマーケティング手法」シリーズ、本日は「アンカリング効果」についてご紹介します。

こんなCMを見たことがありませんか??

「本来であればこの商品は5,000円・・・なのですが、今回に限りなんと2,000円!」

TVの商品販売番組なんかでは定番の手法ですよね。

その2,000円という価格が高いか安いか、その価格だけ提示されると分かりませんが、最初に5,000円という数値を出されると、なんとなく安く感じますよね。

本日はこの心理とマーケティングにおける活用事例をご紹介したいと思います。

アンカリング効果とは

上記の例をお示しした通り、アンカリング効果と言うのは「人は最初に示された数値やデータが基準となり、その後の評価に大きな影響を与える」という人間の持つ心理状態のことです。

これは論理的思考の世界でも用いられる「説得力」を増幅させる手法でもあります。

何事も数値で示した場合、その数値の良し悪しは「比較対象」があって初めて評価が決まります。

要は、その「比較対象」を最初に提示することで、それが基準とかめなって自社のプロモーションに説得力が増すという手法ですね。

「柿ピー」の宣伝を見て思うこと

亀田製菓が販売している、「柿ピー」。

最強の酒のつまみと言っても過言ではないくらい、病みつきになる一品です。

この柿ピーがある時、「なんと『柿』と『ピー』の黄金比率の7:3を実現!」と大きく宣伝したことがありました。

この宣伝を見て皆さんはどのように感じられますか?

3パターンの解釈があると思います。

① そんなに「柿」の比率を適正化したのか?!

② そんなに「ピー」の比率を適正化したのか?!

③ もともと何対何だったの??

私は迷わず③の解釈で、今でも実はモヤモヤしています。

私が見た限りでは、商品のパッケージのどこを見ても「もともとの比率」が書かれていないのです。

これはアンカリング効果が働いていないパターンだと勝手に考えています。

もともとの比率が分からず、最初から「7:3」という数値を出されたので、それが良いのか悪いのか、増えたのか減ったのかがさっぱり分かりません。

そもそも数値を扱うということは、アンカリング効果があって初めて説得力があると言えるのではないでしょうか。

アンカリング効果の事例

アンカリング効果は適切に用いれば、非常に買手の購買意欲を向上させる武器になります。

世の中にはこのようなプロモーションがありますのでご紹介していきましょう。

■ スーパーマーケット: 「ハイボール1缶120円、3缶買ったら1本実質100円」

→ これも、最初に120円という基準を示すことで、100円が基準より安いということが明確になります。

■ 衣料品のタイムサービス: 「今から15分間だけ、5,000円のコートが全品1,500円」

→ 突然「今から1,500円」と言われても、もとがいくらか分からないと評価が難しいですよね。

ちなみに、私は某ドラッグストアでこんなPOPを見たことがあり、ちょっと笑ってしまいました。

「100円のお菓子、2つでなんと200円!」

逆に興味を引きましたが…。

実はこれらの手法はどこの企業や店舗も、自然と活用しているプロモーションでもあったりします。

逆にこの心理作戦は活用しないと、何をアピールしているのか、その評価はどう解釈したら良いのかがさっぱり分からなくなるので、数値を扱う場合はむしろ必須と言えるかと思います。

注意が必要な場面

アンカリング効果と言うのはマーケティングの領域だけで用いられるものではなく、先述の通り「論理的思考」の領域でも用いられるものです。

しかし、マーケティング領域、特に「価格」で用いる場合には注意が必要です。

「二重価格表記」というもので、場合によっては景品表示法に抵触する場合があります。

例えば、「通常10,000円のところを3,000円!」と表記した場合。

本当に通常10,000円で販売していれば良いですが、実は通常価格が4,000円だったりすると、これは「ウソの表記」になります。

この場合、法的にアウトになるということを知っておきましょう。

ともすればインパクトを与えることができる「アンカリング効果」ではありますが、ウソを表記することはコンプライアンス違反であることに十分注意が必要と言うことになります。


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