【マーケティング】顧客心理に基づくマーケティング手法「ウィンザー効果」

  • 2024/02/12
  • 経営関連

こんにちは、中小企業診断士の諸岡です。

「顧客心理に基づくマーケティング手法」シリーズ、本日は「ウィンザー効果」について。

皆さんは、ある営業マンから「これは良いですよ!」と勧められるのと、それを勧められた後に友達から「あそこの商品は良いよ!」と言われるのと、どちらに信憑性があると感じますか?

関係のない第三者からの意見が意外と当本人の勧めよりも説得力を感じたりしたことはありますよね。

本日は、この「ウィンザー効果」というものを活用したマーケティング手法について綴りたいと思います。

ウィンザー効果とは

冒頭に記載した通り、人間には当本人の意見よりも関係のない第三者の意見を信じやすくなる心理傾向があります。

これを「ウィンザー効果」と言います。

このウィンザー効果というのは、作家アーリーン・ロマネスの『伯爵夫人はスパイ』というミステリー小説のある一説に由来していると言われています。

この小説の登場人物、ウィンザー伯爵夫人が「第三者の褒め言葉がどんな時も一番効果がある」というものがあり、そこから「ウィンザー効果」と名付けられたものだそうです。

直接褒めるよりも「間接的に」褒める効果

皆さんは職場において上司の方から褒められたら嬉しい気持ちになると思います。

しかし、同僚の人から「●●部長があなたのこと褒めてましたよ」と言われたら、直接褒められるよりも嬉しい気持ちになったりしませんか?

これはまさにウィンザー効果の表れと言えるでしょう。

私が前職の製薬企業で初めて管理職に就いた時、管理職昇格者研修でも学んだテクニックでもあります。

学生時代にも、「Aさんがあなたのことを好きって言ってたよ」と言われると、直接好きって言われるよりも緊張感は高まるという体験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。

それだけ、当本人から直接何かを言われた言葉よりも、その言葉を全く関係のない第三者から言われた方が、実は信憑性があったり説得力があったりと、効果は倍増するものです。

なぜ第三者の言葉の方が説得力があるのか

そもそも当本人からの言葉よりも、全く関係ない第三者からの言葉の方が説得力があるのでしょうか。

答えは一つ、「全く関係のない第三者であればあるほど、ウソをつくメリットがないから」です。

ある営業マンが「この商品は飛び切りの新開発品で、絶対にお客さんにはこの商品が向いています」と言ってきたとしましょう。

ひねくれた(?)私は、すぐにこう考えてしまいます。

「営業マンは売らないといけないから、メリットしか言ってないんでしょ?」

しかし、その商品を活用した全く利害関係のない友人が、「この商品はむちゃくちゃ良い!」と言ってきたとしましょう。

その友人は別に売ることは目的としていないのです。

したがって、別に良くも悪くも、評価は自由な立場にあります。

この「前提」となる立場が、言葉に重みをもたせることになるわけですね。

製薬企業MR時代のウィンザー効果の活用

私が前職の製薬企業MR時代に、ウィンザー効果はよく活用していたことがあります。

製薬企業はよく医師対象に講演会を開催したりしますが、第三者となる演者の医師に自社品の評価を述べてもらうというのは、わりと王道手法です。

ただ、かなり製薬業界の講演会は頻繁に行われており、ある日はA社の製品の演者を、ある日はB社の製品の演者をと、ある程度権威のある医師であれば引っ張りだこなことが多く、むしろ信ぴょう性が下がるという事態に陥ることもあります。

そこで担当エリアや担当病院で仲良しMRと手を組むという技を使っていました。

薬の評価は他社MRが広げることはプロモーションコード違反になりますので、決してそのようなことはしませんが、「あそこの会社のMRさんはすごい!」「かなりできるMRですよ!」と、お互いを第三者の立場で褒め合うということはしばしばやっていました。

もちろん、競合しない者同士が前提となりますが、この手の手法はわりと用いられることもありました。

自分で「私はデキるMRです!」とは普通言いませんよね。

これぞウィンザー効果の活用手法です!

他社とのやりとりでトラブルが起こることもあるので、あまりお勧めはしませんが、こういった活用方法も時としてあったのは事実でした。

ウィンザー効果のマーケティング活用事例

このウィンザー効果はマーケティングの領域においても多々活用されています。

まずは「口コミ」です。

ある居酒屋が「うちは美味しい」と言うのは普通ですが、お客さんが口コミで評価することは、まさに第三者としての評価。

なんなら自分が良いと思ってるお店が口コミが広まって人気が出すぎると行きたい時に行けなくなることも想定されます。

そんなデメリットを踏まえてもお勧めしたいと思ったら口コミに評価を残します。

店側としては、この口コミが多かったり、高い評価をつけてもらえると勝手に宣伝が広まってお客さんが増えていくことになるので、「口コミ記載お願いします!」「口コミ書いてくれたら割引サービス有」なんかもよく用いられる手法です。

又、昨今ではSNSにて「インフルエンサーの活用」というものがよく用いられます。

インフルエンサーというのはご存じの通り、情報を拡散させるのに影響力をもつ存在です。

まさにこのインフルエンサーは(企業からお金をもらっているパターンもありますが)基本的には第三者の立場の人達です。

人気があるインフルエンサーであればあるほど、それだけ発信する情報も選ばれたものに限られてくるでしょう。

その限られた情報の枠の中に入ったというだけで信憑性は大きく上がるモノです。

最後に

昨今「情報に溢れた時代」と言えます。

何が正しい情報で、何が間違った情報なのかは本人の価値観や評価で決められるべきであることは否めません。

そのような中で、全く利害関係のない第三者が発する情報が当然全てとは言いませんが、それだけ信憑性が高くなるように聞こえてくることは事実です。

これはマーケティングの領域でも大いに活用できる手法でしょう。

是非、自社の商品・サービスを世に広めるために活用してみて下さい!


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