【マーケティング】顧客心理に基づくマーケティング手法「松竹梅の法則」
こんにちは、中小企業診断士の諸岡です。
顧客心理に基づくマーケティング手法シリーズ、本日は「松竹梅の法則」。
うなぎ屋さんでよくある3つの価格帯で、松5,000円、竹3,000円、梅1,500円という3パターンが用意されていることが多いことに気が付くことはありませんか?
なぜか人はこの場合、竹3,000円を選びがち。
実はここにマーケティング手法がもたらされているのです。
本日はこの「松竹梅の法則」の内容について綴りたいと思います。
松竹梅の法則とは
比較的マーケティングの領域の中では、「松竹梅の法則」は有名な手法でしょう。
ある商品を販売する際に、価格帯を3パターン用意して展開した場合、概ね真ん中の価格のものが選ばれやすいというものです。
では、なぜ真ん中を人は選びがちなのでしょうか。
これは想像通りかと思いますが、「極端な選択」を避けたいという心理が働くからです。
高い物は手が出ない、安い物は「安かろう悪かろう」で失敗もしたくない。
「購買」という商取引において、やはり人は失敗はしたくないと考えるものです。
時として、「お試し」で一番安い梅を購入するというケースも当然ありますが、もしそれで納得感や愛着がもてたら自動的に真ん中に上がっていきます。
この場合でも、「お試し」感覚で選んでいますので梅で納得感が得られたとて、いきなり次は松に移行するケースは少ないと想像します。
そもそも「お試し」という段階を経ている時点で、それなりに購入に対して慎重さが垣間見られますからね。
そして、一般的な購入割合で行くと、「松2:竹5:梅3」くらいの割合でしょう。
それだけ人は購入する際、価格は選択の基準に大いになりますし、その価格の頃合いを見て質感も評価したりするのです。
マーケティングにおける「松竹梅の法則」の活用
例えば、店としてこれを一番主力品として売っていきたいと考えている商品があるとしましょう。
この場合、POPなんかで「今これが一番おススメ」や「これが一番人気です」と広告することも一つの方法です。
しかし、先程も記載しました通り「価格」というのは、特にBtoCの領域においては重要な選択基準になります。
そこで、「これ」という主力品が選ばれるように、あえて高値の商品と安値の商品を用意して真ん中の商品に落とし込むという作戦をとったりします。
実に店の在庫を見てみても分かりやすいかもしれませんが、この戦略がうまくいくようにあえて真ん中の価格の商品在庫を多く備えていたりするのです。
また、松竹梅の法則をフル活用するために、店舗では「人の目の動き」に基づいたディスプレイをしたりすることもあります。
つまり、人は「上から下」「左から右」に目線は流れるもの。
あえて高値の商品を一番上に展示して、価格帯に応じて下に並べていくと、効果的に真ん中の商品が選ばれやすくなったりします。
選択肢は多くても少なくてもダメ
松竹梅というのは、読んで字のごとく松と竹と梅の3種類の選択肢です。
これが仮に松梅という2パターンの選択肢だったとすると、価格と言う視点で行くと人は安い方を選びがちですし、そうすると質が悪いという印象がもたれてしまいます。
また、4種類以上の多くの選択肢を与えてしまうと、人はどれを選べばよいか分からなくなり、結果的に購入をあきらめるということにも陥りかねません。(これを「決定回避の法則」と言います。)
3種類という選択肢の数が最も顧客からすれば選びやすく、最も安心して選ぶことができるのです。
松竹梅の法則の具体例
小売店舗ではこの手法はよく用いられます。
たとえばマッサージ店舗ではこのような価格表示を見かけることがあります。
■ マッサージ30分 : 3,000円
■ マッサージ15分 : 1,500円
■ マッサージ5分 : 700円
この場合、30分のマッサージは別に・・・、でも5分のマッサージなんて…、となり、ある意味必然的に15分の1,500円が選ばれやすそうです。
また、カラオケボックスの飲み放題プランにもこのようなプランがあります。
■ アルコール飲み放題(プレミアム生ビール付) : 2,500円/時間
■ アルコール飲み放題(ビールなし) : 1,500円/時間
■ ソフトドリンク飲み放題(アルコールなし) : 500円/時間
なぜかよくビールがあるとないで価格帯が分けられることがあります。
これは顧客心理に基づくという考え方もあるかとは思いますが、お酒の中でもビールは原価が比較的高いという理由もあるかもしれません。
結果的に真ん中のプランを選んでもらうように、あえてそのようなプラン設定をしているという意図もあるでしょう。
最後に
特にBtoCの領域において、消費者が購買に至る際に価格というものは選択基準に大きな影響を与えます。
価格を見て質を決めるという心理もよくあり、よく分かってない人でも価格が高ければその質も高く感じてしまうこともよくある話です。
この通り、最も売りたい商品を価格設定では真ん中に置いて、「売れたらラッキー」な高価格商品、「別に買いたければ買ってくれても…」という低価格商品をわざわざ置くというのは戦略的なマーケティング手法です。
そして、その真ん中価格の主力品が最も視覚的に印象に残りやすい宣伝や広告を立てることも効果的です。
是非実践してみて効果を感じてみて下さい!
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