【経営コンサル】医療DXとは
こんにちは、中小企業診断士の諸岡です。
昨今、何かとDX化が叫ばれていますが、医療の世界においても同じようにDX化を進めていこうと国も様々な施策を打ち出しています。
本日は「医療DX」について簡単にまとめていきたいと思います。
医療DXとは
厚生労働省が発信している「医療DX」とは以下のように述べられています。
「保健・医療・介護の各段階
において発生する情報やデータを、全体最適された基盤を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会生活の形を変えること」
う~ん、難しい…。
要は、「患者さんの情報(疾患情報、治療情報、既往歴等)」を、一元的に管理できるようにすることで、医療機関同士での情報の共有が円滑化されて、質の高い医療を提供できるようにするということ」ということです。
元来、「医療の均てん化」は課題とされてきていました。
どこへ行っても同じだけ質の高い治療を受けることができるように、医療機関同士での密な連携をとるということ、患者さんの状態を的確かつ適切に共有することは、DXうんぬん以前に課題とされていたわけです。
そして今、DXという手段を用いて、改めてその課題を解決していこうと舵をきったわけですね。
医療DX 令和ビジョン2030
厚生労働省が示した、医療DXのビジョンを成し遂げるための施策は以下の3つになっています。
■全国医療情報プラットフォーム
■電子カルテ情報の標準化
■診療報酬改定DX
いずれも、DXを通して、従来手間となってきていた業務を効率よくし、さらにはよりよくもしちゃいましょうという施策です。
私の前職は製薬企業でMRをやっていました。
患者さんの情報共有はもちろんのことながら、診療報酬改定時のレセコンの入替作業などはえらく忙しそうにしていたのを覚えています。
それに加えて、月末の棚卸業務もやりつつ、MRからの「今月数字が足らないので前倒しで発注して頂けませんか?」のお願いにも対応して頂き…。
薬剤師の方々には本当にお忙しい中ご無理を聞いて頂いていたことかと思います。
カルテが電子化されたとはいえ、まだまだ電子カルテ導入率は100%ではありません。
そのような中、昨今では処方箋の電子化も叫ばれはじめています。
色々な業務が変化していく中で、調剤薬局の薬剤師も様々な面で変革を求められていると言えるでしょう。
地域医療構想
これからの時代、一人の患者さんを様々な専門家が地域全体で同じ水準で医療を提供できる体制が求められています。
その中で、患者さんの情報を適切かつ的確に共有出来て、受診する医療機関や医師ごとに質の変わる医療を受けることがないような仕組みを作ろうとしており、その取り組みのひとつがこの「医療DX」になるわけです。
電子化して効率よくするというのが一般的なDXの考え方だったりもしますが、それだけではなく、それによって生身の人間が提供する医療の質も向上することを狙っているということですね。
ちなみに私は、製薬企業時代に緩和ケアに関する医薬品を取り扱っていました。
在宅緩和ケアの支援については、今ほど在宅への移行が国を挙げて言い始めるよりずいぶん前から会社として取り組んでいました。
そしてその頃から、多職種の専門家と顔合わせの場を設けたり、情報共有の場を作ったりと活動しておりました。
今考えたら、それがDXによって実現するということは当時は想定さえもしていませんでした。
あの頃は、なにせスマホさえももっていなかった頃ですから…。
「QOL」の向上のため
医療DXというのは、私はあくまで「手段」だと思っています。
目的は「患者さんのQOL向上」です。
QOLとは、「Quality of Life」の略で、「生活の質」などと訳されます。
私が前職の製薬企業に属していた時は、「治療効果」を気にしつつも「QOL向上」を重視していました。
「痛みが取れた」より「痛みが取れたことで、できないことができるようになった」
「VASスケールが2ポイント低下」より「全身の傷みが軽減されておばあちゃんが孫を笑顔で抱っこできるようになった」とか。
私は製薬企業MRだったころも、中小企業診断士になってからも、その思いは変わりません。
医療DXというものが目的となるのではなく、いつの時代においても「患者さんのQOL向上」が目的である医療の在り方であってもらいたい。