【経営コンサル】介護報酬改定を振り返る

  • 2023/11/12
  • 経営関連

こんにちは、中小企業診断士の諸岡です。

来年度令和6年4月は、医療・介護・障害福祉における報酬改定がトリプルで行われる年です。

続々と進展していく少子高齢化において、昨今「認知症患者の増加」とその対策に着目が浴びています。

本日は、前回のR3年度の介護報酬改定における「認知症分野」について綴りたいと思います。

アルツハイマー型認知症とは

日本において「2025年問題」という問題があげられております。

これは「第一次ベビーブーム」に生まれた多くの団塊の世代が、2025年に75歳以上の後期高齢者になる年と言われています。

後期高齢者の増加に伴い、やはり問題視されるのが「認知機能の低下」ですね。

令和2年度に公表されています厚生労働省の「令和2年患者調査」によると、アルツハイマー病の患者数は、2022年時点で794,000人と報告されており、1996年時点から比べて約40倍まで増加していることが報告されています。

日本の社長の高齢化というのも問題視されており、事業承継に向けた問題点のひとつにも「認知機能の低下」はあげられています。

直近では、エーザイ株式会社から新規アルツハイマー型認知症の治療薬が承認されましたが、今後の日本における認知症対策はより手厚く施されていくことが予想されます。

認知症介護

昨今の政府が目指す医療のあり方は「病院完結型」から「地域完結型」へと移行しようとしています。

そのような中で、医師・薬剤師・介護福祉士・看護師・理学療法士等々、様々な医療従事者がそれぞれの強みを活かしながら連携を取り合う仕組みが重要視されていくことになります。

R3年度における介護報酬改定においては、認知症患者への対応として「認知症専門ケア加算」という点数の幅が広げられました。

従来決められていた算定要件となる施設に加え、新たに以下が算定可能となったのでした。

・ 訪問介護

・ 訪問入浴介護

・ 夜間対応型訪問介護

・ 定期巡回

・ 随時対応型訪問看護介護

ちなみに従来決められていた算定可能施設要件には、「通所型」の介護施設で、R3年度の改定において「訪問介護型」が算定可能施設に組み込まれたということになります。

こちらも、政府が「病院完結型」から「地域完結型」に重きを置こうとしている方向性が見て取れますね。

認知症専門ケア加算(Ⅰ)

認知症専門ケア加算には2パターンあります。

まずは、「認知症専門ケア加算(Ⅰ)についてです。

前提として、「認知症介護実践リーダー研修」というものを修了した者が1名以上配置していなければなりません。

そして、「認知症介護実践リーダー研修」を受講するには以下の要件が課されます。

「介護業務に5年以上携わって実務経験を積んでおり、チームのリーダーとなることが予定されている者で、かつ認知症介護実践者研修を修了してから1年以上たっている者」

この研修を受講した上で、その他必要要件を満たせば認知症専門ケア加算(Ⅰ)が算定でき、「3単位/日」を申請することが可能になります。

認知症専門ケア加算(Ⅱ)

続いて、少しハードルの上がる「認知症専門ケア加算(Ⅱ)」の算定要件です。

こちらの算定条件の前提として、「認知症介護実践リーダー研修」を修了したうえで、「認知症介護養成指導者研修」の修了者を配置することが必要となります。

この「認知症介護養成指導者研修」という研修は、約9週間の研修を通して「専門的知識や技術を指導する役割」や「自他施設や事業所において研修の企画立案を行う」というスキルを養うこととなります。

こちらの研修を修了し、その他要件を全て満たした場合に「認知症専門ケア加算(Ⅱ)」を算定することができるようになり、「4単位/日」の報酬を申請することが可能となります。

地域医療へ

政府は益々「病院完結型」から「地域完結型」への医療を目指して推進していきます。

在宅専門の診療をするクリニックも昨今増えてきていることかと思います。

患者さんの「家族皆と過ごしたい」という思いを叶える方針でもあることでしょう。

来年4月の介護報酬改定においては、益々この流れを実現化していく方向性は間違いありません。

ちなみに、認知症専門ケア加算の算定状況はまだまだ低い状況にあると報告されています。

この算定が取りやすくなるようにするのか、取らなければならないようにするのか、はたまた抜本的に改定がなされるのか、見ものですね。

新たな情報がUpdateされた際にはブログアップして参りたいと思います。