【経営コンサル】医療セミナー紹介「政府が目指す医療DXとは」
こんにちは、中小企業診断士の諸岡です。
本日も弊社研修セミナーのコンテンツのご紹介です。
本日は「医療DX」について。
昨今の人手不足は、医療従事者においても同じように言えることで、この事態をうけて厚生労働省は医療分野においてもDXの導入を推進することを表明しました。
ではどのような方向性で進めていこうとしているのか?
DXを推進するに伴って、どのようなことがヒトに求められるのか?
本日はこの辺りを綴って参りたいと思います。
なお、本セミナーではデジタルやITに関する知識は不要です。
政府の方向性を学んでいただく内容であり、かつシンプルにまとめていますので、ITリテラシーの低い方でも全然学んで頂くことが可能です!(そんな私も超アナログ全開人間です。笑)
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そもそも「DX」とは?
DXとは「Digital Transformation」の略です。
ちなみに「Transformation」という単語には、「交差する」や「横切る」といったニュアンスが含まれており、「線をまたぐ」や「向こう側へ行く」という意味で「X」と略されています。
一言で言うなら、DXとは「デジタル技術を使ってビジネスの在り方を変革させること」と言えます。
ではどのように医療の世界が変えていこうと政府は考えているのでしょうか?
方向性①「全国医療情報プラットフォーム」の開設
さて、まずは政府が目指す方向性の1つ目です。
「全国医療情報プラットフォーム」というのは、「マイナ保険証」で実現させようとしているのです。
そして、これが成し得る「あるべき姿」は、「患者さんがどの医療機関に受診しても質の高い医療サービスをうけることができる」ということ。
なぜ、それがマイナ保険証で実現するのでしょうか?
ここで、現行の健康保険証とマイナ保険証の違いを見ていきましょう。
現行の保険証は提示するだけで、患者さんの医療保険についての資格を確認するにとどまっていました。
マイナ保険証に移行することで、政府は患者さんの受診履歴や投薬履歴などが情報として蓄積されていく仕組みを目指しているのです。
その結果、患者さんの症状や困りごとがどの医療機関にいっても口頭で伝えられるだけではなく正確に伝わることで、均質な治療を受けることができるようになることを目指しているということになります。
なお、2024年12月には現行の健康保険証は廃止される予定で進められています。
廃止された後はマイナ保険証が使われていくことになりますが、全員がマイナ保険証を申請しているとは限りません。(むしろ申請していない人の方が多そう…)
その場合は、政府から自動的に「資格確認書」というものが送られてきて、こちらを活用することとなるようです。
「プラットフォーム」というものに、患者さん自身の病態や治療履歴が蓄積されていき、患者さん自身もそのデータを見ることができるようにすることで、自分自身の健康管理への関心も高めていきたいというのが政府の狙う方向性です。
方向性②「電子カルテ情報の標準化」
続いて方向性②「電子カルテ情報の標準化」についてです。
昨今の診療報酬改定の方向性が、「病院完結型」から「地域完結型」に変わっていることはご存じの通りかと思います。
続々と出てくる「在宅」に関する対応策もその一環です。
しかし病院から在宅に移り、多職種で患者さんを地域でフォローしてく上で「カルテ情報」がバラバラであっては、退院後のフォローにも齟齬が出てくると想定されます。
共有すべき情報を的確に共有することができる仕組みのひとつとして、電子カルテ情報を標準化することを政府は考えたわけであります。
政府としては電子カルテの導入率を2030年に100%にもっていきたいとの思惑があるようです。
果たして実現可能なのでしょうか…??
方向性③「診療報酬改定DX」
そして最後の3つ目の方向性である「診療報酬改定DX」についてです。
こちらは、どちらかというと「ベンダー企業」にとってのメリットが大きいのではないでしょうか。
現在、医療の分野においては診療報酬が2年に1度改定されていますが、薬価については昨今毎年改定を迎えています。
その話し合いは政府の予算を踏まえて、中医協が議論を通してズバッと年度末に改定を発出するのです。
レセコンの運用を担っているベンダー企業は、まあ大変大変!
これらがサクッとできるように仕組みを構築するというのが3つ目の方向性ということになります。
でも本当にこれって実現するのでしょうか・・・???
DXに伴って求められるモノ
医療の世界に限らずですが、DX化によって求められるモノは、ITデジタルに関する知識が絶対という事だけではありません。
当然知っているに越したことはありませんが、日本全国の人が使いこなせる世の中になるのは到底不可能な話。
ではどういったことを政府は求めているのでしょうか。
どんな業界でも同じことですが、「機械にできるルーティン作業」は「機械に任せる」。
「人にしかできない業務」は「徹底的に人が手厚くやる」というのがDX化の鉄則です。
H27年に厚生労働省は「患者のための薬局ビジョン」というものを提示しました。
薬剤師として担っている「対物業務」と「対人業務」のうち、薬中心業務から、患者中心業務への変換を政府は示しています。
患者さん思いな対応、患者さんを中心に考えた親切丁寧な対応というのは、AIやコンピューターにはできません。
だからこそ、人としての手厚い対応が活かされるということになります。
機械に任せる業務の中にも、人だから任されてありがたみを感じる部分というのもあるはずですけどね。
なかなかこの辺りは理解・納得が世界的に求められる分野であると個人的にも思います。
課題は山積み!
さて、これまで申し上げてきました、政府が目指す医療DXが実現する医療の世界。
果たしてそんなにスムーズにいくものなのでしょうか・・・??
どの業界においても少子高齢化が進み、DXというものに抵抗を示す人は多く存在しています。
マイナ保険証をひとつとっても、浸透率が低く、そもそもマイナンバーカードを作っていない人もかなり多く存在しています。
政府に対する不信感や、「なんのために?」「どんなメリットがあって?」が伝わっていないのが現状です。
仕組みだけを着々と進めるのではなく、その意図や背景をしっかりと理解していくことが求められるでしょう。
本セミナーでは、その意図や背景を学んで頂く内容となっております。
まだまだ課題は山積みですが、果たしてどこま医療の世界が変わっていくのか楽しみなところです。