【経営コンサル】医療コンサルについて

  • 2023/09/28
  • 経営関連

こんにちは、中小企業診断士の諸岡です。

日本が今抱えている社会的課題の一つが「少子高齢化対策」です。

中でも、多くの中小企業において同じく抱えている課題に「事業承継」というものがあります。

その背景には、経営者の高齢化があげられますが、実は医療の分野でも同じことが言えます。

今回は、医療における事業承継について考えたいと思います。

日本の医療の現状

厚生労働省の統計報告によると、日本には現在医者が約34万人存在していますが、平均年齢はR2年12月末時点で50.5歳と言われています。

高齢化というのは日本全体の現状ではありますが、それは医療の分野においても同様のことが言えるわけです。

経営者が高齢化するに伴って生じてくる課題が「事業承継」です。

医業の分野においては、比較的他の業界と比べると院長の息子・娘さんも医学部を卒業していることが多く、親族内承継が多いと言われています。

私が製薬企業MRとして多くの医療機関に訪問させて頂いていた時にも、「息子が医学部合格した!」や「今娘が○○大学で研修医として働いている」といったお話をお聞きすることは非常に多くありました。

そのような中、診療所・クリニックの院長先生のご子息が後世として医院を継ぐというケースがほとんどだった印象です。

事業承継の課題(医業)

事業承継において一番最初にあげられる課題は「相続・承継に伴う税金対策」があげられます。

しかし、私は中小企業診断士ですので、税務対策的な点はもちろん大事かとは思いますが、事業承継において忘れてはいけないことがあると思っています。

それは、後継者へのスムーズな承継です。

現院長がやってきた思いや、地域に根差した取組み、患者さんとの繋がりや信頼関係というものは、人が変われば時として一瞬で崩れさることもあります。

よく私の親が「あそこの院長が息子さんに変わってから話も聞いてくれなくなった」などと口にしていることを耳にしたことがあります。

後継者へのスムーズな承継というのは前経営者が取り組んできた内容や思い、何より「理念」というものもしっかり時間をかけて承継することが求められていると思っています。

製薬企業MR時代にも、前院長から後世院長に代譲りした結果、患者さんの評判が良くなることも悪くなることも目にしてきました。

即ち、事業承継において考えるべきことは、税金対策はもちろんのことながら、それだけではないということです。

医療マーケティング

診療所・クリニックも患者さんの治療に携わる、ある意味での「公益性」は求められますが、とはいっても経営者や従業員の生計を成り立たさねばならず、収益は求められます。

そのためには、増患のための施策や取組みは必要になるわけです。

医療の世界では、他の業界と比較しても何に左右されるかというと、「患者同士の口コミ」の影響は非常に大きい領域です。

私が製薬企業MRで訪問していた医療機関が息子さんに承継された際に、従業員のスタッフの方々にこのように話していたのを思い出します。

「どんな患者さんが来られても、親切丁寧を絶対に忘れないようにしてほしい。」

「嫌な思いをすることがあったら、院長である私に言ってくれて良いけど、患者さんには絶対にあたってはいけない」

その承継を受けた若院長は本当に患者さんに親切丁寧を心がけておられました。

病院に紹介したら、病院のベッドまで「その後お加減いかがですか?」と伺われたりもされていました。

決して「サービス」という「マーケティング施策」のためという思いがあるというよりは、真剣に患者さんの思いに沿っていたという印象です。

医療の分野においてもマーケティング施策というものは必要ですが、一番大切なことは「患者さんに一番に寄り添う姿勢」こそが、結果的に口コミを拡散させることに繋がるのではないかと思います。

医療における「伴走型支援」

経営コンサルタントとして今の時代に求められる姿勢は「教える立場」ではなく、「伴走型支援」と言われています。

私は中小企業診断士でありながら、製薬企業20年の経験を経ている点からも、医療従事者に「教える」なんてことは予てよりしたことはありません。(というか、できません…。)

ただ、患者さんのために、という点に軸を置いた「伴走」はできると思っています。

承継の場面にせよ、開業の場面にせよ、最も大切なことはその目的でしょう。

そして「寄り添う」ということに一番具体的にやるべきことは、「傾聴」です。

傾聴とは

ストレス社会の今の世の中、みんな「自分の話を聞いてもらいたい」と誰もが思っています。

それは患者さんが医療従事者に対する思いに限らず、身近な友人同士や家族も全て同じです。

私が製薬企業MRをしてきて、特に身に着けた「コミュニケーションスキル」の中に「傾聴スキル」というものがあります。

皆さんは普段のコミュニケーションの中で、相手の話に賛同できなかったり、自分の考えを主張したいと思った時に、相手の話を遮ってしまうことってありませんか?

又は、相手の話を聞きながら、仮に賛同できない時に顔をしかめてしまったりすることも経験されたことは多いと思います。

傾聴とは、相手の気持ちに寄り添って、親身になって話を聞くというスキルです。

この「傾聴」というものを日常生活で取り入れた日々を送ることは、多くの人達を幸せにすることができます。

相手がアドバイスを仮に求めていたとしても、アドバイス以上に傾聴することで相手の承認欲求はまず満たされます。

そして傾聴を実践するのに一番意識するべきことは「最後まで話を聴く」ことです。

意外とこれはできているようで全然できていないことが多く、医療の分野で言うと「院長先生が私の話を聴いてくれない」という患者の不満に繋がることが生じる要因にもなります。

私が中小企業診断士として最も意識しており、お客さんからも高く評価して頂いていることのひとつが「この人は本当に話を聴いてくれる」という点です。

伴走するのに、相手の話を聴けていないと、独走になってしまいます。

医療の世界においては「医療接遇」というスキルが存在しているほど特殊な分野でもある通り、「傾聴スキル」は必須です。

「傾聴研修」承ってます

医療分野に限らず、中小企業の管理職研修などで「傾聴の実践」を組み込むことが多いですが、体験された方々はだいたい「人の話ってそこまで聴いてなかったんだな」と仰る方が多くいらっしゃいます。

患者さん、お客さん、従業員の方、友人、恋人、家族の話をしっかりと聴いてみませんか?

研修承っていますので、気軽にお問合せ下さい。