【経営コンサル】マイナ保険証は何のために作るの?
こんにちは、中小企業診断士の諸岡です。
厚生労働省が進めようとしている医療DXの方向性について、セミナーを開催する予定です。
その中で、今回ポイントとなる「マイナ保険証」についての意義と目的をご紹介する予定です。
マイナ保険証を進めることでどのようなメリットがあるのか、考えていきたいと思います。
マイナンバーとは
マイナ保険証を考える前に、そもそもマイナンバーとはどういうものなのでしょうか。
マイナンバー制度というのは、正式には「社会保障・税番号制度」という名のもと、2015年10月から導入された制度です。
従来も国が国民全員に「背番号」をつけて、色々なものを管理してきました。
基礎年金番号・納税者番号・保険証番号などなど。
しかし、それらは全て異なった番号で、管理者(管理省庁)も異なりました。
そして混乱を招かないよう、政府としても社会保障と納税に関する制度の基盤を整理し直そうとした意図があります。
そしてマイナンバーという制度を導入し、一元的に管理することを進めました。
最大の目的は「DXの推進」です。
それによって「公平・公正な社会の実現」(行政サービスの不正取得を防止する)、「行政の効率化」(一元管理することで業務効率を向上させ)、「国民の利便性向上」(行政手続きにおける書類添付の削減)を実現させることを進めるというのが、マイナンバー導入の背景です。
マイナンバーカード
そこで発行され始めたのが「マイナンバーカード」です。
マイナンバーを利用する各種申請においてマイナンバーを活用させるためにも、ひとつの証明書として発行されていきました。
しかしながら、現時点でマイナンバーカードの取得状況は50~60%程度と伸びなやんでいることが報告されています。(NTTデータ経営研究所「マイナンバーカード活用に向けた意識調査」より)
そこで、現行の保険証をマイナンバーカードと一体化させて、現行の保険証を廃止しようという流れに繋がっていったわけです。
マイナ保険証のメリット
ところで、マイナ保険証を作ることでどのようなメリットがあるのでしょうか。
以下は、患者さんにとってのメリットを纏めたいと思います。
【患者にとってのメリット】
①質の高い医療を受けることができる
患者さんがマイナ保険証を提示することで、今まで受診してきた診療内容や治療歴、服薬履歴などが全て反映され、どの医療機関にいっても情報のベースが同じになります。
患者さんが伝え忘れた、伝えにくいなどの「情報のねじれ」が少なくなり、均質的な医療サービスを受けることができるというのがメリットのひとつです。
②窓口で限度額以上の医療費支払いが不要になる
高額医療の場合、限度額を超えた分は一旦窓口で建て替えて後日バックというのが現状の精度です。
それがマイナ保険証を保有していると、窓口で限度額以上の金額を支払う必要性がなくなります。
③マイナポータルで確定申告データが連携される
マイナポータルで患者さん自身の診療歴を閲覧することができます。
このことにより、領収書を保管する必要がなく、簡単に医療費控除の申請をすることができるようになります。
マイナ保険証の作り方
では、どうやってマイナ保険証を申請するのか?
これはやり方は大きく2つ、「スマホ・パソコンで申請」か「セブン銀行ATMで申請」です。
- スマホで申請の場合
マイナンバーカードと4桁の暗証番号を用意し、「マイナポータルアプリAP」というアプリをダウンロードします。
その後、スマホでマイナンバーカードを読み取り、必要事項を入力すれば完了です。
- パソコンで申請の場合
パソコンの場合は「ICカードリーダー」が必要です。
同じくマイナポータルサイトに入り、ICカードリーダーでマイナンバーカードを読み取り、必要事項を入力すれば完了です。
- セブン銀行ATMで申請
これだけスマホやパソコンが普及した時代とはいえ、もっていない人だっていますよね。
また操作が分からないなども当然出てくることでしょう。
そんな場合は、お近くのセブンイレブンにセブン銀行ATMがあるかと思いますので、そちらで申請が可能です。
この場合、マイナンバーカードと健康保険証は不要で、マイナンバーカードの暗証番号だけが必要です。
(噂によると、セブン銀行ATMで申請したら、1分程度で終わるとのこと!)
現行の健康保険証はどうなる?
現時点での予定では、2024年12月上旬には遅くとも廃止される予定とのことです。
ちなみに、経過措置期間はそれから1年間のようです。
では、2024年12月上旬に健康保険証が廃止された時点で、マイナ保険証を保有していない人はどうなるのでしょうか?
健康保険証が廃止される2024年12月上旬時点で、マイナ保険証を保有していない人には無料で自動的に「資格確認書」というものが配布されてくるようです。
こちらは、発行されてから有効期間は5年間と言われています。
「であれば、マイナ保険証申請しなくても良いのでは?」という意見も出てきそうです。
まず、現時点でもマイナ保険証を提示すると、若干窓口負担が少なくなります。
政府が「マイナ保険証を申請してくれれば窓口負担を安くしますよ」というインセンティブをつけているということでしょう。
一方、「資格確認書」の状態で受診した場合は、現行の窓口負担と変わらなくなります。
ということで、申請するとメリットがあるということですね。
政府の対応に期待
以上、マイナ保険証を申請することのメリットは分かりました。
でも、なぜ浸透しないのか?は想像に易いですが、政府の情報に対する対応の問題ですね。
マイナンバーカード、マイナ保険証を活用することで個人情報が一元化されることとなり、膨大な量の個人情報が蓄積されることとなります。
これが適切に扱われなければ大問題になります。
また、マイナンバーカードの申請手続きでもかなり時間がかかっていたり、マイナポイントの申請も手間が多かったりと、国民が抱える負担も問題視されています。
適切な対応と、期待効果をしっかりと生み出してくれる政府の対応に期待が寄せられています。
「成し遂げたい姿」と「国民がすべきことの全体像」「政府がしっかりと対応するべきリスクマネジメント」をより発信し、国民の理解を着実に深めていく必要がありそうですね。