【経営コンサル】強い組織に存在するのはリーダーよりもファシリテーター

  • 2023/11/02
  • 経営関連

こんにちは、中小企業診断士の諸岡です。

私が考える、「力のある組織」の根底には、リーダーの「ファシリテーションスキル」が備わっていると思われます。

メンバー全員が意見を出し、発散された意見が連鎖を生み出し、衝突が起きたとしても全員の合意形成に導く舵取り役。

これは決して進行役の腕力では成り立ちません。

本日は「ファシリテーションスキル」について綴りたいと思います。

ファシリテーション スキル

ファシリテーションとは「人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取るすること」であり、集団においてあらゆる知識創造活動を支援し、促進する取組みを言います。(特定非営利法人日本ファシリテーション協会より)

例えば、ある会議に皆さんが参加して、こんな経験したことありませんか?

もしくは、こんなのもあるのではないでしょうか?

会議やミーティングあるあるですね。

これには全て1つの答えがあります。

それは、「ファシリテーターが悪いから」です。

ファシリテーションには必要とされるスキルがあります。

ファシリテーションにおいて必要とされるスキルは以下の4つです。

「場のデザイン」スキル

ファシリテーターは会議やミーティングを開催するに当たり、準備が求められます。

それは、限られた時間内に話し合うべき議題を整理し、全員の合意をとるまでの流れをしっかりと準備するスキルです。

ここでは、進行の準備のみならず、参加者の人間関係も視野に入れながら、円滑に会議体が進むような準備を徹底するスキルも求められます。

②「対人関係」スキル

今回の「会議」「ミーティング」というのは、進行者が一方的に連絡や指示をカスケードする会議体ではなく、全員で議論をして何か新しいものを決めていく際の会議体を想定しています。

この場合、一人でも多くの意見を豊富に出してもらうことで、より斬新な結論に持ち込むことができることが多いでしょう。

そのためには、ファシリテーターが意見を出しやすい空気感を生み出さなければなりません。

これは「場のデザイン」スキルに近いものがありますが、「対人関係」スキルというのは、意見を出しやすくするための参加者への配慮に近いスキルです。

発言者の意見に対して理解や共感を示し、相手の思いを受け止めるスキルで、ここでは傾聴や応答、観察などを駆使しながら参加者をモチベートしていきます。

ここでやってはいけないことは、「ファシリテーター自らの考えを押し付けること、貫き通すこと」です。(→これ、すごく多いです)

意見を言ってはいけないというわけではありませんが、なるべく参加者の意見を優先した方が良いでしょう。

さらに、ある人が発言した内容を踏まえて、別の人に意見を求め、意見を連鎖させていくというテクニックも不可欠です。

③「構造化」スキル

ここでは発散された参加者たちの意見を、集約していくスキルです。

数多くの意見が出てきた場合、何かしらの基準やフレームを用いて集約していかなければ意見はまとまらず、結論に至りません。

ここでは「対人関係」というソフト側面よりも、「論理的思考」といったハード側面が重要視されます。

数多くの意見を集約するための「枠組み」(=フレームワーク)を活用したり、多くの意見から共通項を見つけ出して絞っていったりと、ロジカルシンキング手法が問われます。

意見の発散と収束においては「MECE」(=モレダブりなく)を意識すると、収束しやすくなります。

*MECE(=モレダブりなく)の詳細はこちらの記事をご覧ください。

④「合意形成」スキル

ファシリテーターにとって最難関のステージがこれだと思います。

様々な意見が飛び出し、様々な調整もしつつ、時には意見の衝突も出たりする中で、全員が「OK」と言える形に落とし込むためのスキルです。

ここでは、集約の段階で「構造化」スキルを駆使して、できる限り全員の意見を踏まえた形に落とし込まないと合意形成に溝が生まれていきます。

一方、ここで意識するべきこと!

「全員が100%納得合意」という状態でなければならないというわけではないということ。

そうであるに越したことはありませんが、そうでないことの方が多いかと思われます。

少なくとも全員が「概ね納得」という状態であれば最低ラインはクリアだと思うことがよいでしょう。

合意形成のステージでは、論理的に納得を行く形に落とし込んで合意を取る側面に加えて、参加者の心理的側面も大いに配慮しなければなりません。

ここが非常に重要なポイントになってくるわけです。

フレームワークの活用

うまいファシリテーターは「フレームワーク」を上手に活用します。

集まった意見を、時間軸で区切ってまとめたり、3C(市場・競合・自社)や、4P(製品・価格・流通・広告宣伝)などの「フレームワーク」と呼ばれる「モレダブりなく作られた枠組み」に落とし込んでいきます。

そもそも、「フレームワーク」というものが「MECEに作られたもの」というのが前提になっています。

従って、その枠の中に意見を集約していくと、モレの部分が出たり、重複していたりすることが見える化されます。

そしてフレームワークを活用するスキルというのは、「どのフレームワークを使えばまとまるか」という「フレームワーク選び」が上手な側面が問われるというわけです。

最後に

強いチームには、見事なファシリテーターが存在しています。

そしてそれは「リーダーシップ」という「牽引役」とは異なります。

全員参加型、全員合意型の組織であればあるほど、チーム力は高いです。

そしてそれらをうまく引き出すのが「ファシリテーター」です。

今の時代において、強いリーダーよりも強いファシリテーターがいる方が、組織としては発展していくのではないかと個人的に思うところであります。