【経営コンサル】診療報酬改定2024

  • 2023/11/03
  • 経営関連

こんにちは、中小企業診断士の諸岡です。

来年度、2024年度は「医療」「介護」「障害福祉」におけるトリプル報酬改定が行われます。

診療報酬は2年に一度、介護報酬と障害福祉サービス等報酬は3年に一度の改定がされますが、2024年度はそれらがちょうど一致する年なのです。

どのような改定がされるのか?

現時点でまとめられる範囲になりますが、診療報酬改定について簡単な概要をお示ししたいと思います。

第8次医療計画

かつて「病院完結型」と言われていた医療が、現在は「地域完結型」という方向に向かっていっていることはご存じかと思います。

病院それぞれに急性期、亜急性期、慢性期などの役割が分類されることで、急性期、亜急性期については簡単に言うと、限られた財源の中で治療をするので、できれば短期間で退院してもらって地域で診てもらうことを役割として担う流れになっています。

中でも今回の改定においては、救急医療を担う病院について役割をより明確化させる意図が含まれているようです。

①「初期救急医療機関」

主に独歩で来院する自覚症状が軽い患者さんへの夜間及び休日における外来診療を担う病院。

②「第二次救急医療機関」

高齢者救急をはじめ地域で発生する救急患者の初期診療と入院治療を主に担う病院。

③「第三次救急医療機関」

重篤患者に対する高度な専門的医療を総合的に実施することを基本としつつ、他の医療機関では治療の継続が困難な救急患者の診療を担う。

これらの分類となっており、病院機能がどのように変化していくかが今後の論点となるようです。

かかりつけ医

地域の外来診療所における「かかりつけ医」機能というものを政府はすすめています。

これは薬剤師も同様で、「かかりつけ薬局」「かかりつけ薬剤師」という言葉を耳にされたことがある方も多いのではないでしょうか。

日本医師会が定義する「かかりつけ医」とは以下の通りです。

「健康に関することをなんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介してくれる、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師。」

この「なんでも相談できる医師」というのを、地域でしっかり自分で決めて、親身になって相談してくれる関係を構築する仕組みをさらに広げていこうというのが、今回の診療報酬改定の狙いです。

外来機能の分化

病院における外来機能というものの見直しが進められています。

2020年の診療報酬改定時に、病院の外来機能は一旦改定されています。

「医療資源を重点的に活用する外来」を地域で基幹的に担う医療機関(紹介受診重点医療機関)を明確化することが目的でした。

簡単に言うと、「まずはかかりつけ医で受診してください」「紹介をもって高機能な病院にいってください」→「それによって、外来患者の待ち時間の短縮や、病院勤務医の負担軽減、外来医療の質および効率性等の向上を目指します」という話です。

そして、その外来がどのような状況になっているのかを都道府県が調査をするために、病院および有床診療所は「外来機能報告」というものが義務付けられるようになりました。

この情報を蓄積し、次回の改定時に「紹介受診重点医療機関」の範囲が拡大するか否かが精査されていくことでしょう。

オンライン診療

企業でも今やオンラインミーティングはごくごく一般的になりましたが、医療の世界にもオンラインは進んできています。

「オンライン診療料(70点月1回算定)」というものが既に設けられていましたが、2022年2月の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の改定をもって、「オンライン診療料」が廃止されました。

その分、新たに以下の項目が追加されました。

①情報通信機器を用いた初診に係る評価: 251点(対面診療の90%)

②情報通信機器を用いた再診に係る評価: 

  再診料: 78点(対面診療と同額) /  外来診療料 73点(対面74点)

③情報通信機器を用いた医学管理等に係る評価: 対面診療の約87%

つまり、医師がオンライン診療を導入しやすくなったと言うことができるかと思います。

このオンライン診療に係る評価が、次回の改定で再算定され、算定要件が緩和されることとなりそうです。

医師の働き方改革

2024年4月からは医師に対して、「時間外労働の上限規制」が適用されます。

私も製薬企業MRとして大学病院を担当していた頃、医師の動きに合わせて訪問しますので、勤務医の忙しさや過酷さは目に余るものがある印象でした。

よく「先生、寝てますか?」と聞いたものです。

2024年4月からは以下の規制が入りますが、それでももっと休んでもらいたいですね。

■ A水準:すべての医師

  時間外労働の上限は、年960時間以下/月100時間未満(休日労働含む)

■ B水準:救急医療など緊急性の高い医療を提供する医療機関

  時間外労働の上限は、年1,860時間以下/月100時間未満(休日労働含む)

■ C水準:初期臨床研修医・新専門医制度の専攻医や高度技能獲得を目指すなど、短期間で集中的に症例経験を積む必要がある医師

  時間外労働の上限は、年1,860時間以下/月100時間未満(休日労働含む)

医療DX

医療DXは益々進められていきます。

大きな目的は、データベースに基づいて患者さんの情報が一元管理され、どの医療機関にいっても高い質の医療サービスを受けることができるようになることです。

以前、医療DXについての記事は書きましたので、詳しくはこちらへ!

介護サービスとの連携

冒頭でも記載しました通り、今回は診療報酬改定と介護報酬改定が同時改定となる年です。

地域医療を推進していく上で、医療と介護の連携がより強化されることを目的としている点が見て取れます。

今回のこのダブル改定を前に、「令和6年度の同時改定に向けた意見交換会」というものが設置されていました。

その会では、「医療と介護のあるべき連携の姿」とは、必要な情報の一方向的な提供や閲覧だけでなく、相互のコミュニケーションを深め、現状、課題、目標、計画などを共有しながら、患者(利用者)、家族とも同じ方向に向かい、より質の高い医療・介護の実現につなげることとされています。

それに向けて、どのような改定がされていくのかが見ものであります。

最後に

診療報酬改定は、今後も「地域完結型」の医療にどんどん移行していく流れにあり、病院の機能分化もさらに進んでいくことが想定されそうです。

さらには、医療従事者の人手不足を解消するためにも、DX化はもはや必須条件になっていきそうですね。

新たな情報がUpdateされましたら、また綴りたいと思います。