【経営コンサル】リーダーシップとは
こんにちは、中小企業診断士の諸岡です。
企業や組織にいると「リーダーシップを発揮して」という言葉がよく耳にされます。
前に出てメンバーを引っ張っていくことがリーダーシップと定義されがちですが、「リーダーシップ」と一言で言っても色んなタイプがあります。
本日は、「リーダーシップ」とはそもそも何?について綴りたいと思います。
リーダーシップのタイプ
一言で「リーダーシップ」と言っても、100人いれば100人のやり方があり、様々なタイプが存在しています。
「前に出て全員を牽引していく」というタイプももちろんそのうちの一つですが、それだけではありません。
以下に、一般的なリーダーシップのタイプを示したいと思います。
■ 「変革型リーダーシップ」
■ 「制度的リーダーシップ」
■ 「分散型(共有型)リーダーシップ」
■ 「サーバント・リーダーシップ」
様々な分類の仕方がありますが、今回はこの4つの分類の仕方をご紹介します。
そしてこれらが全てではなく、複合的にそれぞれの要素を取り入れたタイプも存在することはもちろん前提です。
稲森和夫氏に学ぶ「変革型リーダーシップ」
まずは「変革型リーダーシップ」についてです。
これは、「複雑な状況に対応する『管理能力』と、変化に対応する『変革能力』を両立させるタイプ」です。
変革型リーダーシップは以下のスキルを有するタイプです。
■ カリスマ性
■ 部下のモチベーション鼓舞
■ 知的刺激力(部下の問題解決能力を高める、など)
■ 個別の配慮
「変革型リーダーシップ」は、先入観に囚われることなく組織の古い体質を抜本的に変えていくきっかけを作ることができます。
さらに、企業経営のピンチを救う原動力になり得るのです。
この変革型リーダーシップを取り入れて、企業を再生したのが京セラ代表の稲森氏です。
稲盛氏は「アメーバ経営手法」を取り入れて、事実上倒産状態であったJALを再生させました。
従来の経営手法から、稲盛氏は一気に管理職に権限を委譲させ、組織そのもののあり方をごっそり変革させ、2年後にJALを再上場させました。
カリスマ性あり、ビジョン提唱型の変革型リーダーシップは、変革に対して臆することなく前進あるのみの姿勢です。
それがゆえに、変革という者に対して抵抗を示すメンバーも出てくることは想定されます。
そういった人たちもマネジメントしていくスキルが必要となるわけです。
組織に忠実な「制度的リーダーシップ」
会社や組織には「役職」というものがあります。
その役職には「役割」というものが与えられ、役職に就くことで役割を担うことになります。
企業の経営理論には「組織は戦略に従う」という言葉がありますが、制度的リーダーシップは「リーダーは組織に従う」と言い換えることができるかもしれません。
企業が存在する上で「理念」というものがあり、その理念から導かれた「企業として、組織としてのあるべき姿」を忠実に実現させるよう導くことが「制度的リーダーシップ」に求められるスキルと言えるでしょう。
ある意味では忠実、ある意味ではドライという風に捉えられるかもしれませんね。
個々にやらせる「分散型リーダーシップ」
今の時代にある程度求められているリーダーシップのあり方とも言えるかもしれないのが、「分散型リーダーしプ」。
昨今、自分で考えて、自分で推し進めて、というスタイルを取らない人材が増えてきていると言われていますし、私も管理職をしていたころは、同様のことを考えていました。
それに対して、「分散型リーダーシップ」は、リーダーである本人が状況に応じてその権限を委譲して、メンバーにリーダーシップを代わりに取ってもらうタイプのリーダーシップです。
マネジメントに近い考え方ですね。
リーダーが専門的知識を全て持っていないといけないかというと、それは不可能なこともよくあります。
そのような時に、専門的知識をもつメンバーに代役を務めさせるリーダーです。
与えられたリーダーの役割を受けたメンバーはモチベーションも上がりますし、「人を動かす」という勉強も体験することができます。
結果的に、一人一人の主体性が磨き上げられるというメリットもあります。
縁の下の力持ち「サーバント・リーダーシップ」
メンバーへの配慮が最も長けたタイプのリーダーはよく存在しますね。
よくあるイケイケなリーダーは、組織の前に立って「ついてこい!」系でリーダーシップを発揮することでしょう。
しかし、「サーバント・リーダーシップ」の場合は、リーダーはあまり前に出ません。
「分散型リーダーシップ」が「ある状況下にいおいてメンバーに任せる」というパターンであったとしたら、「サーバント・リーダーシップ」は、「ほぼ全てメンバーに任せる」というタイプに近いでしょう。
もちろん、ただ「やらせる」というわけではなく、メンバーが成果を残すことができるように、適宜アドバイスをしたり支援をしたりします。
メンバーのモチベーションは非常に上がることでしょう。
しかし、全て任されるのでメンバーによっては「大変・・・」と感じる人もいるかもしれませんね。
リーダーシップの使い分けが重要
上記の通り、本日はリーダーシップの4類型をご紹介しました。
これらのどれが正しい、どれかが間違っているというわけではありません。
大切なことは、その企業や組織がどのような状況にあって、メンバーがそれぞれどういうタイプなのかを見極めた上で、リーダーシップの類型を使い分けることが大切です。
私が35歳の時に初めて管理職に就いたころ、全て自ら前に出て、「ついてこい系」のリーダーシップを発揮医師ていました。
色々な状況下を潜り抜けていく中で、それだけでは身が持たないと感じた瞬間もありました。
さらに、自分が絶対にやらなくても、メンバーにもそれをやりきれるスキルは十分にあると判断することもできたのでした。
いずれのリーダーシップの類型だとしても、共通して求められることは「メンバーを信用すること」だと思います。
上司と部下、リーダーとメンバーは「相互信頼」の下に成り立っていると言えるでしょう。
だからこそ、信頼関係を構築することが最も大切だと言えることは、どのようなリーダーだったとしても共通して言えることでしょう。
時代や環境にあわせて柔軟にやり方を変えながら、組織を強くしていくことが、今の時代において求められることですね。