【マーケティング】顧客心理をつかむマーケティング手法「ハロー効果」

  • 2024/02/08
  • 経営関連

こんにちは、中小企業診断士の諸岡です。

「顧客心理をつかむマーケティング手法」シリーズ、本日は「ハロー効果」について。

人事評価などでもよく左右されてしまう心理状態です。

これは実はマーケティングの領域でも活用できる顧客心理のひとつ。

本日は顧客心理のひとつ「ハロー効果」について見ていきましょう。

ハロー効果とは

私が管理職に就いた時に、部下の評価をつける時に気を付けるように言われた「ハロー効果」というもの。

ものすごい成果をひとつ残した部下の、その時の行動や成果がインパクトが大きすぎて、他の行動に対する評価がゆがめられてしまうというやつです。

「ハロー効果」とは、「人は一つの目だった特徴に引っ張られて、他の特徴への評価がゆがめられやすい」という人間の心理状態を意味しています。

実はこれはマーケティングの領域でも活用することができます。

非常に優れた特徴を有する商品やサービスの、その「優れた点」に着目したとしましょう。

モノやサービスには必ず「メリット」と「デメリット」が存在していますが、あまりにその特徴が良すぎるが故に、デメリットが頭に入ってこない、デメリットを上回るメリットに見えてくる、というやつです。

基本的に買手は「メリット」を求めてモノやサービスを購入します。

もちろん、デメリットも受け入れた上で購入するのが筋なのですが、心理的には「より良い」と思った瞬間、そのモノやサービスにおけるデメリットの部分に対する評価がゆがめられてしまう心理をもっていると言われています。

製薬業界におけるハロー効果はプロモーションコード違反

私がいた前職の製薬業界においては、基本的にハロー効果を惹起させるプロモーションというのは業界における「プロモーションガイドライン」において禁止されています。

医薬品の特徴には「有効性」「安全性」という大きな特徴の側面が2つあります。

この中で、有効性がとびぬけて優れているという科学的根拠があったとしたら、医師は基本的に素晴らしい評価に惑わされます。

しかしながら、どのような医薬品においても「副作用」「有害事象」という「デメリット」の部分は必ず存在しています。

この「安全性」の点を有効性に偏ったプロモーションで歪められることは、業界全体として現在は禁止されています。

又、プロモーション資材(パンフレット)においても。掲載するデータの「掲載割合」まで厳粛に決められています。

つまり、有効性ばかりを掲載するパンフレットは厳禁ということになり、ハロー効果を生み出すきっかけになる資材は世に出すことさえ社内で止められます。

科学的根拠に基づく情報提供が原則とされている業界ですので、ハロー効果を生み出さないように情報提供しなければならないということになりますね。

ハロー効果の歴史的背景

さて、このハロー効果という心理状態はどのようにして解明されてきたのでしょうか。

実は遡ること、1920年に心理学者のエドワード・ソーンダイクが書いた論文「A Constant Error in Psychological Ratings」よって提唱されたものだと言われています。

もともと「ハロー」とは「後光」や「光輪」という言葉を意味しているようです。

つまり、後光がまぶしくて他の部分が見えなくなってしまう状態をイメージしているということでしょう。

管理職に就いた人は、だいたい最初の部下の評価をする際に、成果を残したインパクト大の部下に後光がさして見えることでしょう。

実はこれは逆もしかりなのです。

ものすごいインパクト大の失敗を起こしてしまった部下がいたとすれば、それが他にも残してきた成果をも見えなくなってしまって評価が歪められてしまうことがあります。

人事評価という点においては注意が必要なハロー効果ですが、マーケティング領域においては積極的に活用されている事例もあります。

ハロー効果を活用したマーケティング手法

多くは飲食店で用いられている事例が多いです。

例えば、ネットに掲載されている「口コミ」です。

もちろん人にもよりますが、口コミの内容を見る前に、だいたい「星の数」を見たりしませんか?

実はこれはハロー効果が生まれる代表例なのです。

星の数が多ければ多い程、「ここは美味しい店」という先入観が働きます。

また、単純に口コミの数が多い店を見ると、それだけ評判が良いという思考になることもよくある話。

その結果、自分の口に合っていない料理だったとしても、勝手に「美味しい」という評価が生まれてしまう傾向にあります。

従って、店側としては「口コミを書いてくれたら次回割引きサービス」なんかを宣伝したりすることもあります。

また、ブランド戦略によるハロー効果もあります。

例えば「モスバーガー」の事例。

モスバーガーは「新鮮な野菜」を売りにしているファーストフード店です。

もちろん、新鮮な野菜を使っていることは事実なのでしょうが、なぜかモスバーガーに行くと勝手に野菜が美味しく感じられたりしませんか?

もしかしたら、新鮮な野菜を使っているモスバーガーでも、「新鮮な野菜」というブランド戦略を売り出していなかったとしたら、そのように感じないのかもしれません。

買手に心理的にポジティブな印象を植え付けることで、実際にそのような気持ちにさせて評価を歪めさせるというマーケティング手法と言えるでしょう。

間違えても、決してウソをついているというわけではなく、顧客に「そこ」に徹底的に着目させているというテクニックですね。

「顧客心理を突く」は「顧客満足を生み出す」

様々な顧客心理を突いた手法が存在していますが、これらは決して「つけ入る」という意味で用いられているわけではありません。

顧客により高い満足度をもってもらうことが目的です。

これが度を超すと「悪質な宣伝」と言われるようになります。

製薬業界の事例を例にあげましたが、基本的には科学的根拠に基づいた広告宣伝がベストです。

「ウソ」「大げさ」「紛らわしい」にならない、事実ベースに基づく宣伝手法を心がけることが大切です。

そのような中でも、ハロー効果というものが人間の心理にあるという点を踏まえると、面白い広告宣伝ができるかもしれませんね。


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