【マーケティング】顧客心理に基づくマーケティング手法「カクテルパーティ効果」
こんにちは、中小企業診断士の諸岡です。
「顧客心理に基づくマーケティング手法」シリーズ、今回は「カクテルパーティ効果」について。
なんだこのネーミングは?!と思われるかもしれませんが、これは人間の行動心理に基づくものです。
居酒屋に複数の人達と飲みに行って、わいわいがやがやしている中で、別のテーブルにいる人たちが自分の名前をポロっと話題に出されると、その会話に入っていなかったのに、なぜか耳に入ってきて気になったりすることってありませんか?
全然その人の話を聞いていなかったのに、なぜか自分に関係するWordが出てくると、なぜか耳に入ってくるという謎の現象。
これが実はマーケティングの領域でも活用されていることについて、本日は綴りたいと思います。
カクテルパーティ効果とは
前述の通り、どういうわけか人間はそれまでの会話を聞いていなかったとしても、なぜか自分に関係することや、自分が興味をもっている話題が出てくると妙に耳に入ってくるという現象が起きます。
これは実は、自分に関係したり興味があったりする部分だけ切り取って情報を収集できるという、脳の働きなのです。
この脳の働きを「カクテルパーティ効果」と言います。
まさにカクテルを片手にパーティに参加しているシーンで、隣で輪になっている人たちが自分の名前を話題に出されると、なぜか振り向いてしまいますよね。
それまでの話題は一切耳に入ってきていないのに…。
この「カクテルパーティ効果」というのは、耳に入ってくる音声を選択して聴取する効果として、イギリスの認知心理学者であるエドワード・コリン・チェリーによって1953年に提唱されたと言われています。
なかなか面白い、というかすごいところに着目したもんですね。
マーケティングにおけるカクテルパーティ効果
この人間の「音声の選択的聴取」という行動が、実はマーケティングの領域でも活用されています。
これは、ターゲットとなる顧客層の耳に届くような投げかけをするパターンが非常に多いでしょう。
昔から新聞広告のチラシなんかにもよく記載されていた文字を思い出しますが、例えば以下のようなもの。
「大阪の北摂地区で家を購入したいと思っている人へ」
「家で優雅なコーヒーを飲みたいと思っている方、必見!」
「全国の佐藤さんと鈴木さんにお願いです!」
該当しない人にはおそらく全く刺さらないと思いますが、該当すると認知された人においては、目が留まる可能性が高まります。
つまり、カクテルパーティ効果を生み出すためには、明確なターゲティングと、そのターゲット以外は見てくれなくても良いというくらいの集中度があると、なお効果が高まります。
これがボヤっとしていると、カクテルパーティ効果は減弱します。
「お腹空いている人、必見」
これを誰が見るでしょうか??
カクテルパーティ効果というのは「自分に関連する」「自分が対象となっている」と認識した時に脳が反応するものとお伝えしました。
上記の「お腹空いている人、必見」というメッセージでは、関連している人は山ほどいるでしょうし、関連していたとしても「自分事」として認知されません。
なぜなら、広すぎるからです。
この効果を存分に活用するのであれば、とにかくターゲットを絞り、それ以外は捨てることです。
製薬業界におけるカクテルパーティ効果の活用
製薬業界というか、これは私自身が製薬企業MRとして、相手にカクテルパーティ効果を生み出すために実施していたコツです。
例えば、新しく担当になって前任担当者からの引き継であいさつをさせて頂いた時のこと。
普通であれば「●●製薬の諸岡と申します」と言って名刺を出しますが、必ず私は「〇〇先生、●●製薬の諸岡と申します」と、一番最初に「〇〇先生」と名前をしっかり付けてご挨拶するようにしていました。
すごく細かくて小さいことかもしれませんが、相手は「自分の名前を呼んでくれた」と意識されます。
普段の会話の中でも、相手の二人称を「先生」と言うことが多いですが、必ず「〇〇先生」と名前を付けて呼ぶようにしていました。
何度かこの手法を評価してくださった医者がいらっしゃって、「君と会話していると、なんか嬉しくなる」と言われたこともあります。
相手が忙しくて面談ができない際には、ただパンフレットを置いて帰るのではなく、茶封筒に入れて、「〇〇〇〇先生御侍史」と、必ず下の名前まで記載して置かせて頂いていました。
要は、「100打てば当たる」で一辺倒なバラマキ作戦をするのではなく、一人一人のお客さんに「特別なあなた」という対応をしていたということに他なりません。
マーケティングの領域に限らず、通常のコミュニケーションの中でも必ず使える、まさに小さい気配りとなり、これが相手に特別感を与えることができるようになります。
是非、カクテルパーティ効果という反応が人間に備わっているということを理解して、ちょっとした工夫を取り込んでみてはいかがでしょうか?
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