【マーケティング】顧客心理に基づくマーケティング手法「店舗づくり(色彩編)」
こんにちは、中小企業診断士の諸岡です。
前回に引き続き、「顧客心理に基づく店舗運営手法」として、今回は「店づくりの原理原則」編です。
特に今回は、店舗運営における「照明の明るさ」「色」などに着目していきたいと思います。
全ては店がどのようなコンセプトで運営しているか、ターゲット顧客はどんな層なのかで決まってきます。
「落ち着いた気分でゆっくりオシャレにお酒を飲みたい」と考えるサラリーマンが行くBarは、だいたい店内は薄暗く、BGMはジャズ、店員さんもがやがや喋ったりしませんよね。
こういう店はだいたいビールをがぶがぶ飲むというよりは、しっぽりウィスキーをちびちび堪能するような雰囲気が多いのではないでしょうか。
これは「年齢層が高めの大人のサラリーマン」をターゲットとして、落ち着いたラグジュアリーな雰囲気を提供するというコンセプトで展開されているものと想定されます。
今回はこの「店の雰囲気」や、それを構成する「明るさ」「色」などについて綴りたいと思います。
小売店舗における視覚的効果
マーケティングにおける小売店舗の視覚的効果には以下の4種類があります。
■ 「誘目性」 :
これは読んで字のごとく「視点を誘う効果」周囲の環境の中から特に目を引かせる効果のことです。
■ 「可読性」 :
視線を集めた上で、そこに書いている文字が読みやすく、理解されやすいという効果のことです。
■ 「明視性」 :
視線が集まった先にあるのは文字とは限りません。図形の場合その意味の理解しやすさを指します。
■ 「視認性」 :
これは一言でいえば「確認しやすい効果」です。明るさに依存する効果と言えます。
店舗を運営していく上で、店の前の看板や、店内のPOPなど、お客さんにそのコンセプトや売りが伝わらなければ宣伝効果は弱く、意味を成しません。
そこでこれらの色彩効果や明度などをうまくコントロールしながら、お客さんに目で見てその存在を知らしめる、またはその効果を理解してもらうことを目的として検討されるのです。
色彩の心理効果
色には一般的に人間の心理を駆り立てたり、落ち着かせたりする効果があります。
お葬式の場ではあまり派手やかな色を用いたりすることはしませんよね。
お客さんが「鮮やか」「華やか」などのレイアウトであると、興味をもつこともあるでしょう。
そこで、それぞれの色がもつ人間に与える心理的効果は一般的には以下の通りと言われています。
それぞれの色にはそれぞれの人間の心理状態を駆り立てる効果がありますが、それを多用することで効果が減弱することもあります。
例えば、「赤」は情熱的で明るさもあり、お客さんの購買意欲を上げやすく、注意も引きやすいとされていますが、だからといって多用しすぎるとちょっとイライラするという事態に。
また、「黒」は店内がラグジュアリーで高級感がある雰囲気を醸し出します。
一方、それが故に「安価な買い物をしたい」と考えている所得層の人達には受入が悪いかもしれません。
これらをうまく組み合わせることで、最適な色彩効果を発揮させてターゲット顧客の心理をつかむという手法となってきます。
「色温度」がもたらす効果
色には「色温度」という尺度があります。
色というよりここでは「光の色」を意味します。
つまり「色温度」とは「光の色合い」のことです。
色温度が低くなればオレンジ色のような暖かい色みになります。逆に、色温度が高くなれば白色や青色のような冷たい印象になります。
店のコンセプトに合わせて、光の色合いを変えることで、来てもらいたいお客さんを呼び寄せたり、売りたい商品のコンセプトを伝えたりすることができます。
光もどのような色にするかによって、ターゲット顧客を呼び寄せることができるか変わってくるということですね。
また、当然のことながら上記の「色彩」との統一感も重要になってきます。
目立たせる色の組み合わせ「マンセルの色相環」
店としても、売りたい商品の陳列は目立たせたいと思っていることでしょう。
そこで色の組み合わせは重要な要素になってきます。
では、何色と何色を組み合わせれば目立つのか?
それが、以下の「マンセルの色相環」というものが活用されます。
この「マンセルの色相環」というのは、アメリカの美術教育家で画家でもあったマンセルが色を系統的にまとめるために考案されたもので、現代では様々な領域で活用されています。
これは、「向かい合う色は『補色』とと言う関係にあり、この2色を同時に用いると目立つ」とされるものです。
ちなみに、「補色」の関係にある2つの色を混ぜ合わせると、なんと灰色になるそうな!
これはこれは驚きです!
以上の通り、色の使い分けや組み合わせ、照明の色の拘りなど、店を形作るのに人間の心理をいかにつくかは非常に重要な要素となってきます。
やはり、良い商品を売ろうとした時に、商品の良さをどのように訴えかけるかというのは、店側のマーケティング手法にかかってくるということですね。
是非参考にしてみて下さい!
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