【人材育成・マネジメント】ハーズバーグの動機付け・衛生理論について

  • 2024/03/06
  • 経営関連

こんにちは、中小企業診断士の諸岡です。

企業には組織が存在し、組織には個々の人材が存在しています。

組織力を講じるのによくポイントとなるのが「モチベーション」。

モチベーションは高いに越したことはありませんが、どのように上げるのが効率的かつ効果的なのか?

給料を上げると人は全てモチベーションがあがるのかというと、実は一概にはそうとは言えません。

本日は、組織のモチベーションを向上させるための原点となる「ハーズバーグの動機付け・衛生理論」について綴りたいと思います。

ハーズバーグの動機付け衛生理論とは

「ハーズバーグの動機付け・衛生理論」要因理論とは、仕事においてどのようなことで満足し、逆にどのようなことで不満足を引き起こすのか、その要因を分析した理論のことです。

ハーズバーグはアメリカの臨床心理学者で、モチベーションを向上させる要因を研究するにあたり、インタビュー形式で調査を行いました。

そしてこの研究成果として、19世紀ごろに「動機付け・衛生理論」を発表したとされています。

ハーズバーグは、人・組織のモチベーションを向上させるためには以下の2つのポイントに着目するべきだと主張したのでした。

① 動機付け要因

② 衛生要因

では、どちらの要因に着目することで人・組織はモチベーションがあがるのか見ていきたいと思います。

「動機付け要因」とは

動機付け要因とは「仕事において満足を引き起こす要因」のことで、「促進要因」とも呼ばれることがあります。

つまり、人・組織が仕事をしていて直接モチベーションが向上する、やる気が湧いてくるとされる要素のことを指します。

具体的には、「仕事に対する達成感」「仕事に対する使命感」や、「責任」「成長の機会」などがあげられます。

仕事をしている中で、自分が施した貢献で人が笑顔になったり、「ありがとう」と心から笑顔でお礼を言われたりするとモチベーションも上がりますし、「やってて良かった」って感じることありますよね。

人間には生まれもって「他人に認められたい」「自己実現を果たしたい」という、「承認欲求」というものが心理的に備わっています。

「プライスレスな喜び」とも言えるでしょう。

つまり、動機付け要因とは、「精神的な成長」、「外部から認められたいという欲求」に基づいたものだとされているということになります。

「衛生要因」とは

一方で、「衛生要因」というものも存在しています。

「衛生要因」とは「仕事における不満に関する要素」を指し、「不満足要因」と呼ばれることもあります。

具体的には、「給与の額」「労働条件」「衛生面での問題」などがあげられ、「動機付け要因」がソフト面であれば、「衛生要因」はハード面と捉えることもできるでしょう。

実は、この「衛生要因」に着目して人にモチベーションを上げようとしても、それほど効果が高いとは言えないと言われています。

上司から「給料を上げてあげるから、これをやれ」と指示されると、モチベーションは上がるでしょうか?

よほどお金に困っているのであれば、気持ちは少し楽にはなるかもしれませんが、基本的に「モチベーションが上がる」というよりは、「不満が軽減される」に留まるでしょう。

つまり、衛生要因にフォーカスしたところで、変わるのは「補うべき点が補われた」というだけに過ぎないのです。

会社員時代の私

私は独立起業前は、製薬企業の従業員でした。

製薬企業と言えば、世間一般的にも給与は高い方だと思います。

それでも従業員のタイプには様々でした。

「なかなか昇格させてもらえない」

「ここまで頑張ってるのに、昇給しない」

こういった不満を口にする人も当然存在していました。

中には、上司から「君は本当に頑張ってて助かってるよ!」「君がいなかったらうちのチームは本当に終わってると思う」と、褒めに褒められて上司からの承認(=動機付け要因)を受けていても、「・・・、だったら給料上げてくれても良いのに」と言う人もいました。

私自身は、そこまで高い給料に拘りがあったわけではありませんでした。

むしろ、「これだけの給料を上げてるのだから」と言われるのが嫌で、賃金以上の仕事をしている自分にちょっとしたステータスを感じていたタイプです。

私の場合、対価として受けている給料や労務管理に対して不満を感じていない、つまり「衛生要因」は満たされている状態だったのでしょう。

むしろ、自分ができなかったこと、苦手としていたことをできるようになった時に、やたらと褒めて欲しいと思ったり、達成感に満ち溢れて誰かに話したいと思ったりしていたのです。

つまり、人・組織のモチベーションをより高めていくためには、最低限満たすべきである「衛生要因」をしっかりと整えた上で「動機付け要因」にフォーカスしなければならないということが言えます。

まずは「個」に着目

人間には承認欲求というものがあり、誰でも褒めて欲しいと思う欲求を持っています。

しかし、人のモチベーションというのは、そうそう一筋縄に向上させることができるものではありません。

だからこそ、人材マネジメントというのは面白くもあります。

AIやコンピューターがピピっと反応してピコっと何かをやってくれるだけで、全世界の人々がやる気満々になるのであれば、もはや人間は必要なくなります。

ハーズバーグの動機付け・衛生理論という「理論」を抑えつつ、メンバー1人1人がどのポイントにモチベーターとしてのスイッチがあるのかを見極めることが肝要です。

そのためにも、企業によっては上司と部下の個人面談を定期的に行う文化が敷かれているところもあります。

まずはメンバー個々との接触を密にしながら、「個」に着目していくことが重要ですね。

一筋縄に「給料を上げてあげる」と言ってもモチベーションがなぜ上がらないのか、「ハーズバーグの動機付け・衛生理論」をもとに組織のあり方を考えてみると良いでしょう。

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