【中小企業診断士】リスキリングについて

  • 2023/08/24
  • 経営関連

こんにちは、中小企業診断士の諸岡です。

昨今、「リスキリング」という言葉が広がりつつあります。

リスキリングというものが、どのような背景で生まれたのか、なぜ今推奨されているのかについて整理したいと思います。

「リスキリング」とは

リスキリングとは、一言でいえば「大人の学び直し」と言えます。

すなわち、業務上の技術や専門スキルを新しく獲得すること。

そして、それを企業が従業員に促進することを意味します。

昨今、「DX」(デジタルトランスフォーメーション)という言葉とあわせて普及し始めた言葉です。

そして、「DX」とあわせて普及したという点に実は大きな意味があるのです。

なぜ、いま「リスキリング」なのか

先述の通り、「DX」や「AI」の浸透が背景にあると言われています。

DXやAIが今後益々進展していくことで、あらゆる定型業務は続々と自動化されていくこととなります。

世界経済フォーラム「ダボス会議」において、次のようなことが表明されています。

「主要経済国20か国において、2022年までに7,500万の雇用が失われ、1億3,300万の新しい職が創出される可能性があり、被雇用者全体の少なくとも54%がリスキリングを行う必要がある」と。

ちなみに、リスキリングは「DX」や「AI」のことについてリスキリングすることだけを意味しているわけではありません。

それに取って代わられた場合に、事業転換に向けた新たなスキルを身に着けることであれば領域は限られないわけです。

大人が世界で最も学ばない国、日本

世界中でDXが進んでいっている中で、最も人的資本に対して投資をしている額が少ない国は、日本だそうです。(経済産業省データより)

さらに、「社外学習・自己啓発を『何もやっていない』人の割合は、ダントツ日本が世界中でトップ(52.6%)で、2位のオーストラリア(28.6%)と大きく差をつけています。(パーソル総合研究所「グローバル就業実態・成長意識調査2022年」より)

しかも、その理由は「忙しいから」や「負担が重いから」などと大きく差をつけて「なんとなく」という理由の用です。(リクルートワーク研究所「全国就業実態パネル調査2018」より)

企業としてのリスキリングは仕組みが大切

リスキリングは、どちらかというと企業が従業員に対してやらせるものというニュアンスが含まれています。

したがって、業務として学ぶということになるため、比較的強制的な力も働くことを想定します。

しかし、日々の業務に忙殺されてしまい、世の中の中小企業の人達が全員毎日勉強ができるかというと難しいことも安易に予想できます。

だからこそ、それができるようにするための「会社の仕組」が必要となります。

「個人の努力次第」と判断しているようでは継続は難しいでしょう。

人事制度として取り込む、社外講師を招いての研修の時間を設ける、などです。

個人の努力は当然必要ですが、それを後押しする会社側の仕組みは必須です。

大切なのは「経営理念」と「ビジョン」

企業内でリスキリングをする上で、私が最も大切にするべきことは「経営理念」と「ビジョン」であると考えます。

その会社は創業者のどのような思いで創立され今に至るのか(=経営理念)。

将来自社の業務を通して、どのような社会を築いていきたいのか?またはどのような会社になっていたいのか?(=ビジョン)

これらは、全社員が共通の認識をもつべき最低限の軸です。

実はこれらは、「モチベーション」に大きく関係しているものであるものだと思っています。

会社という存在は、お客さんから選ばれて存在しているものです。

その「選ばれている価値」というものは、会社の誰一人が欠けてもなし得ないものです。

それらを踏まえて、今後の自社の将来像を描いた時に、リスキリングがなぜ必要なのかを深く理解することが最も大切です。

リスキリングを浸透させる、というのはあくまで手段の世界で、根本的に浸透させるべきは「企業理念」と「ビジョン」であります。

なぜなら、この2軸は決して変わらない、会社の存在意義であるからです。

そこに紐付いて、リスキリングという手段が存在しているわけです。

リスキリングの効果

リスキリングに対して投資している企業は変化に対して柔軟に対応できる強さがあります。

DXやAIによって仕事を取って代えられたとしても、新たな業務を見つけ、身に着けたスキルでより高い水準で業務を作り出していきます。

DXに取って代わられたからもう仕事がない、で生きてはいけないでしょう。

これは本当に重要なことだと思っていますし、会社として推進していく上で様々な課題を明確にしながら進めていく必要があると思います。

もし、リスキリングの必要性を理解しつつ、どのように進めるべきかと悩んでおられる方は、気軽にご相談ください。

共に未来の会社、未来の組織を考えていきましょう!