【初心者向け】良いグラフィックデザインとは?
こんにちは、グラフィックデザイナーの吉原です。
今回は「良いグラフィックデザインとは?」というテーマについて考えていきたいと思います。
「デザイン」と聞くと、『センスのある人にしかわからない』、『私には無理』など、ちょっと敬遠してしまいがちな方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに「良いグラフィックデザイン」を作り出すためには、一定以上の知識や技術が必要です。
しかし言い換えれば、知識や技術があれば誰でも「良いグラフィックデザイン」を作り出すことが出来るとも言えます。
この記事が、新米グラフィックデザイナーの『なかなか納得のいくデザインが出来ない』といった悩みや、広報担当の『発注したポスターやフライヤーのデザインの良し悪しが判断できない』といった悩みを解決できる一助になればと思っています。
1.良いデザインとはなにか
とにかく見栄えを重視し、目を引き、奇抜で、華やかなデザインが良いのでしょうか?
それとも読みやすさを重視し、無機質で、整然と情報が並べられたデザインが良いのでしょうか?
答えは『それらが両立していること』です。
「美しさ」と「機能性」の両立、と私は言っています。
- 美しさ : 独創的な、整った、華やかな = 視覚を満足させるビジュアルであること
- 機能性 : 読みやすさ、見やすさ、伝わりやすさ = 効果的であること
機能性を無視したデザインは、美しくても良いデザインではありません。
つまり、デザインは美しく仕上げると同時に狙った効果を求められます。
解答用紙を例に考える
私は「解答用紙」が良いデザインの例になると考えています。
まず、採点者から「採点しやすいように、問題とそれに対応する答えを見やすくしたい」という要望が出てきたとします。
1)デザイナーはまず「各解答ごとに決まった場所に書き込ませる」という意図で解答用紙のデザインに取り組みます。
2)「解答欄」という「設問ナンバーに対応した四角いオブジェクト」を設けることで、その効果を狙います。
3)狙い通り解答者は「解答欄」に答えを書き込みました。
4)デザインによって解答者に「各回答ごとに決まった場所に書き込ませる」という行動を起こさせました。
解答用紙の性質上、華美な装飾は必要ないので、誤認させない「整列されたレイアウト」と「機能性」を両立した解答用紙は立派な『良いグラフィックデザイン』と言えます。
こうして「読み手に、意図した行動を起こさせる」それがデザインの面白いところなのです。
2.デザインの4大原則について
グラフィックデザインは、その長い歴史の中で培われた原則や技術に則っています。
そして、構成要素を整理し、美しく、かつわかりやすく伝えるための原則が「デザインの4大原則」『近接』『整列』『反復』『対比』です。
近接 : 近接は関連する要素をグループ化する原則です。関係のある要素は近づけてレイアウトすることで視覚的な結びつきを生み出し、整理されたデザインになります。
整列 : 整列は要素を視覚的に整然と配置する原則です。グリッドやガイドを利用し、要素の一辺を揃えることで『仮想ライン』を作り出し、見やすさを実現します。
反復 : 反復はパターンや要素の繰り返しを通じて統一感を作り出す原則です。構成要素や内容が共通する場合は、それを繰り返すことで一貫性を生み出します。
対比 : 対比は要素間の差異を意図的に作り出す原則です。情報の優先順位を明確にすることで重要度を表せます。また視覚的な強調は、視線誘導にも役立ちます。
この4つを抑えておくと、デザインの改良点を言語化しやすくなったり、企画書の作成にも役立ったりします。
3.デザインを構成する4大要素について
「機能性」と「美しさ」を表現するデザインはどういった要素で構成されているのでしょうか。
これは一般論ではなく、私が20年の業務の中でたどり着いた理論ですが、大きく分けて4つの要素があると考えています。
- 空間(レイアウト・マージン・ホワイトスペース)
- グラフィック(写真・イラスト)
- 文字(テキスト・フォント)
- 色
グラフィック・デザインのほとんどが、この4つの要素を単体もしくは複数用いて構成されています。
デザインをこの4つの要素に分解して分析することで、デザインの問題点を洗い出しやすくしたり、参考にしているデザインのどこが良いのかがわかりやすくなったりするメリットがあります。
『空間』『グラフィック』『文字』『色』の各要素について解説し始めると長くなるので、また別の記事で紹介しようと思います。
4.まとめ
グラフィックデザインはつい感覚やセンスで捉えがちですが、実は長い歴史の中で日々研鑽されてきた理論であり、継承できる技術です。
このブログの記事を通じて、少しでもグラフィックデザインの重要な要素についての理解を深め、皆さんのデザインプロセスやクリエイティブな取り組みに役立てていただければ幸いです。